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- 導入事例
- 経営者自ら握る資金繰りを、「作業」から「意思決定」へ。ハリマ産業株式会社がKanagleeで手にした経営判断の土台
2026.09.02
経営者自ら握る資金繰りを、「作業」から「意思決定」へ。ハリマ産業株式会社がKanagleeで手にした経営判断の土台
ハリマ産業株式会社
業種
襖・室内建具の製造販売
従業員数
約20名
当初の課題
- 5つの銀行口座を個別のExcelシートで管理、残高が一致しない等で表が破綻しがち
- 資金繰り管理業務の約7割が「正確性を担保する作業」に費やされ、本来の経営分析までたどり着けない
- 銀行担当者から過去の数字への細かな指摘が入るたび、精神的な負担が大きかった
実際の効果
- 銀行口座の自動連係とAIによる科目自動分類によって、数字の信頼性が確立し「これ以上のデータはない」と確信できる状態に
- 銀行から「そういうシステムに投資しているハリマ産業を評価する」との声。バックオフィスへの評価が変わった
- 資金繰り管理業務の7割を占めていた「正確性との戦い」がほぼゼロに。分析・経営判断に時間を使えるように
千葉県で襖・ドアの製造を手がけるハリマ産業では、代表取締役の大久保謙一氏が5口座の資金繰りを自ら管理していました。Excelでの手作業に加え、銀行ごとに異なる11種類のフォーマット対応や、複数銀行間の資金移動見落としなどにより、資金繰り管理業務の約7割が「正確性を担保する作業」に費やされ、本来の経営分析までたどり着けない状態が続いていました。そこで資金繰り管理クラウド「Kanaglee」を導入。銀行口座の自動連係とAIによる入出金科目の自動分類により、Excel時代の「正確性との戦い」はほぼゼロに。資金繰りが「作業」から「経営判断の土台」へと変わり、大久保氏は「やってて楽しい」と感じるまでになりました。
事業を継いだ二代目社長として、資金繰りを自ら握ってきた背景
ー まず、ハリマ産業さんの事業について教えてください。
大久保さん:昭和45年頃に父が創業した一族経営の会社です。私は平成10年に入社し、平成20年に父が病気で亡くなったのを機に事業を継ぎました。もともと襖の製造販売が中心で、マンション大型工事で年商10億円ほどあった時期もあります。一棟受注すると2000万円から4000万円という規模でした。
ー そこから事業構成を大きく変えられたそうですね。
大久保さん:経営を安定化させるためには、大口の単発取引を追いかけるのではなく、安定的にリピートが見込める取引先を積み上げるべきだと考えるようになりました。それで、三井ホームさんをはじめとするハウスメーカーとの継続取引を軸にしていったんです。近年はコロナ以降、リフォーム市場や公営住宅、そして海外輸出へとさらに軸足を移しています。輸出は始めて一年半で1000万円を超え、海外だと襖一本200万円ということもあります。

ハリマ産業が手がける襖の作品例 フランス パリ1区
ー 20名規模の会社で、資金繰り管理を大久保さんご自身が担われているとのことですが、そこに至った背景を教えてください。
大久保さん:父も母も、銀行の出身でした。父は早稲田大学を卒業後、銀行に入行して10年勤めています。弟も銀行出身です。この会社を継ぐ時、父たちに「資金繰り表を作ってほしい」と言ったんですが、「銀行との交渉は不可逆的だし、銀行のロジックが分かるからこそやりにくい」と、みんなに嫌がられて。
ー ご家族全員が銀行と対峙したがらないと。
大久保さん:そうなんです。銀行経験者は「うちのこの内容だったら、このぐらいが精一杯だろう」ってすぐ分かってしまう。だから交渉できない。私は銀行員の気持ちが分からないから、逆にいろいろ言える。それで、私がやるということになって、平成10年からずっと資金繰りを担当しています。
ー 経営者ご自身が資金繰りを握られる理由として、それ以外にはどんな思いがおありでしょうか。
大久保さん:一番嫌なのは、突然「社長、お金が足りません」「間違えてしまいました」と言われることです。営業や製造の話ならまだいい。でも、お金は取り返しがつかない。責任として、うちぐらいの規模の会社なら、社長がやるべきだと思っています。
大久保さん:それに、銀行さんから何か聞かれた時、「ちょっと経理に聞いて」では即答にならないし、信憑性もなくなる。何より、自分が知りたい、というのが根本にあります。
ー 大久保さんが二代目として会社を継がれる前後には、事業を大きく整理された時期があったと伺いました。
大久保さん:父の代までは襖の事業に加えて、国立病院のリニューアル工事など建築系の別事業もあり、両方合わせて年商10億円ほど、借入もおおきかったです。事業を絞り込む中で、遊休資産の売却、単発の大口取引件数の低減、借入残高の圧縮をしていきながら、少しずつ整理していきました。
大久保さん:その時期が、一番厳しかった時期でした。売上があっても、動くお金が多くて、決済額も大きい。大型工事だと1億円の手形で受け取ることもあって、当時はゼネコンの与信不安もあったので、「額はでかいけれど全然安心できない」という状態でした。業界的にも厳しい時期で関東にあった襖メーカー13社が3社まで減った時期でした。
ー その時期を経て、資金繰りは絶対に手放せないという感覚が強まった。
大久保さん:結果としては自分がやるしかない、と。銀行との交渉は事業の重要な意思決定に直結する話で、社長でなければ即答できないし、意思決定を代理では回せない。事業を継いだ以上、資金繰りを自分で握らないと会社の判断そのものができなくなる。それが「自分がやるしかない」の中身です。
5口座を個別のExcelで管理。銀行ごとに異なるフォーマットが業務を圧迫していた

Excel資金繰り表のイメージ
ー Kanaglee導入前は、実際どのように管理されていたのですか。
大久保さん:Kanagleeに出会うまでは、日繰り表を自分のフォーマットで作っていました。会計は会計ソフトを使って税理士事務所に委ねているのですが、会計データを資金繰りに使おうとすると、月に1回しか更新されない。しかも「実は請求書が抜けていました」と後から出てくると、会計ソフトまで遡って直さなければならない。当時は現場にも入っていたので、そんな時間がなくて、会計ソフトとの連携は諦めました。
ー Excel管理の中身を、もう少し具体的に伺えますか。
大久保さん:最初のうちは5口座を一つずつ、それぞれ個別のシートで管理していました。銀行がそれを求めてくるので。各取引銀行が求める5種類の異なるフォーマットで、資金繰り表を作っていたんです。しかも、銀行によって単位が違うんですよ。ある銀行は「1000円単位でいい」と言うのに、担当が変わると「万単位で」「百万単位で」と言われる。
ー 数字の丸め方でズレも出やすくなりそうですね。
大久保さん:そこがまさに問題で、精緻なものを作ろうとするほど、百万単位で丸めると数字がずれてくる。「百万単位で切ってあるから、経営判断には影響ないですよね」と言っても、「それでもおかしいですよね」と指摘される。それでExcelの切り上げ機能を使って、データは一円まで打つけれど表示は百万で丸めて…とやればやるほどデータが複雑になっていく。
ー 銀行への提出頻度はどのくらいでしたか。
大久保さん:厳しい時期は毎日、調子がいい時は3か月毎等、銀行から「欲しい」と言われたら作る、という感じです。ただ、3ヶ月更新が止まっていると、1ヶ月分作るのに朝から晩までかかる。「これ、何だったっけ」「なんで社会保険がこの月だけ2倍になっているんだ」と一つひとつ思い出さないといけない。月末が土曜日で1日が月曜日だと、資金繰り表の日付が全部1日ずれる。そういう調整も必要になる。
ー 日曜日に対応することもあったと。
大久保さん:業務が多忙で銀行への提出が遅れることもあり、取引銀行の担当の方にも申し訳なくて、日曜の夜に会社に出てきて作っていたこともあります。「作りますから」と頭を下げて。ただ、日曜に作業してもインターネットバンクは動いていないから、最新の残高が見られない。もう全然ダメでした。
資金繰り管理業務の7割が「正確性を担保する作業」に費やされていた
ー 資金繰り管理のツールもかなり探されたと伺っています。
大久保さん:過去に資金繰りの本だけで10冊から15冊は買っています。でも、どれも決定的に良くない。理由は明確で、5口座の残高を統合できないんです。Excelでやるとシートが口座ごとに増えていって、それを足し算して一つに集計するという構造がどうしても崩れる。
ー 週末に一人でExcelと向き合っている時、どんな気持ちだったんですか。
大久保さん:正直に言うと、非効率だと感じていました。過ぎ去った過去の分を集計しているだけだから。でも、銀行さんは「どう推移したのかを知りたい」とおっしゃる。一生懸命作ったのに、「ここは合わないんですけど」と細かい指摘が入る。それに対して「絶対に隙のない資料を出せるようにしよう」と何度もトライしました。でも、精緻にしようとすればするほど、Excelの構造が複雑化して、再現できなくなる。その繰り返しでした。
ー 資金繰り表作成の中で、これまで何割ぐらいの時間を「正確性を担保する作業」に費やされていたと感じますか。
大久保さん:7割くらいですね。Excel時代は、資金繰り表作りの7割くらいが「正確性との戦い」だった。分析する力が残っていなかった。全部の口座を突き合わせて、各項目を合わせるだけで疲弊してしまう。とりあえず出来上がったら、それで「終わった」という感じ。数字を出すこと自体が目的化してしまっていたんです。
口座残高の自動連係とAIによる入出金科目自動分類。決定打はここにあった
ー Kanagleeとの出会いはどうだったんですか。
大久保さん:Instagramの広告で見つけたのがきっかけです。それまで、資金繰り管理のツールはネットでも相当調べていて、ほとんどのサービスに資料請求はしていたと思います。でも、どれも決定的な決め手に欠けていました。
ー 決め手は何でしたか。

複数銀行口座の残高を自動連係で一元表示
大久保さん:二つあります。一つは、口座残高を自動で更新してくれること——正確には、最新の残高及び入出金明細を自動で取得して、資金繰り表が更新されること。もう一つは、AIによる入出金科目の自動分類。この二つが決定的でした。私がExcelで一番苦労していたのが、まさにこの2点だったので。5口座の残を人手で追わなくていい、しかもAIが分類も自動でやってくれる。「これは、自分がずっと求めていたツールだ」と、初めて画面を見た時に率直に思いました。
ー 導入時に不安はありませんでしたか。
大久保さん:ありました。「使いこなせるだろうか」と。ただ、Kanagleeさんが良かったのは、会計ソフトや他業務システム等と違って、過去にさかのぼってデータ登録やマスター整備を行うといった、利用を開始するまでの初期設定の負担がほぼなかったことです。例えば10月1日から始めるのであれば、その日から使い始められる。すごく入りやすかったです。
ー オンボーディングはどのように進みましたか。
大久保さん:初期設定に2時間ほどご一緒いただいて、その後は2、3週間に1回、1、2ヶ月にわたってフォローミーティングをしていただきました。その進め方でスムーズに移行できました。
宮川(Kanaglee):Kanagleeは日々の資金繰りを判断するための独立した情報基盤として設計されています。税理士様に管理をお願いされている会計データとは違い、経営者様が日次で判断するための基盤として、リアルタイムに動くように作っています。また、初期設定の負担がほぼない設計にしているのは、Excel時代からの移行障壁をできる限り下げるためです。「使い始めた日から効果が出る」ことを重視しています。
資金繰りが「作業」から「分析」に変わり、経営判断の土台になった

Kanaglee:AIによる入出金科目の自動分類後の画面
ー Kanaglee導入後、実務としては何がどう変わりましたか。
大久保さん:まず、Kanagleeが、私が今まで手をつけていなかったレベルの細かいところまで、勝手に振り分けてくれる。抜けがない。「これ以上のデータはない」と自分の中で思って、資金繰り表を扱えるようになりました。
ー 銀行への提出はどう変わりましたか。
大久保さん:エクスポート機能で日繰りにも月次にも変換できるので、銀行から要望されるフォーマットに合わせて出せます。絶対に合っているという自信を持って出せる。

Kanaglee:エクスポート機能で抽出した銀行提出用の資金繰り表イメージ
大久保さん:銀行の反応も変わりました。ある銀行の担当の方に「こういうシステムを導入しているんです」とお話しした時、「そういうことに投資しているハリマ産業を評価します」と言われたことがあります。バックオフィス、つまり守りの面もしっかりしている会社なんだと、印象が変わったようです。
ー 過去の数字への銀行担当者からの質問はどうなりましたか。
大久保さん:以前は資金繰り表を出した後、「銀行から資金繰り表の数字についてどんな質問が来るか」と不安を感じていました。未来のことについては当然質問が来るのですが、過去についても細かい質問が来ていた。それが今はほぼゼロです。合っているから、質問が来ようがない。
ー 以前のミーティングで「やってて楽しい」とおっしゃっていたのが、印象に残っています。あれはどういう感覚だったんでしょうか。
大久保さん:綺麗に片付いていく感じがするんです。未分類のところが、どんどん整理されていく。時々「これ、なんだ?」と分からないものがあるじゃないですか。それを掘っていくと「あ、これは給料だ。この人、入ったばっかりだからな」と発見がある。そういうことを見つけていくのが、楽しい。数字を正確に把握していけるようになって、モヤモヤがなくなり、楽しいとさえ感じるようになった、というのが正直なところです。
ー 資金繰り管理そのものへの向き合い方が変わった、ということでしょうか。
大久保さん:本当は、資金繰り表や試算表というのは、出来上がったものを分析するのが本来の使い方じゃないですか。でも、Excel時代は分析する力が残っていなかった。全部の口座を突き合わせて、各項目を合わせるだけで疲弊してしまう。とりあえず出来上がったら、それで「終わった」という感じ。
大久保さん:今は、出来上がったものを月次に縮めるか、日繰りで伸ばすか、いろんな見方をして分析できます。「これがなかったらどうなっていたか」「これは季節要因だから、この臨時支払いを除いたら、実力値はもっと違う」といった検証ができる。Kanagleeのデータには信頼性があるから、そういう分析の土台になる。
宮川(Kanaglee):資金繰り管理を「作業」から「分析」に変える、というのがKanagleeが目指しているところです。経営者ご自身で資金繰りを握る方が「分析」に時間を使えるようになると、経営の質そのものが変わっていくと感じています。
ー Kanaglee導入後も、「資金繰りを自分で握る」という感覚は変わらないですか。
大久保さん:変わりないですね。特に、過去が正確に分かるから、非常に安心する。以前は資金繰り表を出した後に精神的な負担だった「銀行からの質問への不安」がなくなった。過去は絶対に合っているという確信がある。だから、未来の見通しについても、より腰を据えて考えられるようになりました。
ー 資金繰り管理に使われていた時間は、今、何に使われていますか。
大久保さん:品質管理や、従業員との対話に使えています。
大久保さん:実は、今年の4月頃から会社の事業製品構成が急に変わっていて、襖とドアの生産量が逆転したのです。人員配置もそれに合わせて動きました。うちのような中小企業は経営資源が限られているので、フォーカスした方がいい。そういう決断をしながら会社の方向性を見直せる余裕が出てきたのは、資金繰り管理から解放されて分析に時間を使えるようになった影響もあると思います。
経営者自身が資金繰りを覗き込むべき。同じ立場の経営者に伝えたいこと
ー Kanagleeに今後期待されることは何ですか。
大久保さん:エクスポート機能で「合計だけ出す」「内訳だけ出す」といった切り替えができるようにしていただきたいのと、消込機能の充実、それからリースの残債管理を計画側に落とし込めるようにしていただきたい。細かいところですが、ぜひ実装いただきたいと思っています。
宮川(Kanaglee):ご指摘の消込機能は現在開発中ですし、計画と見込みの反映を選択できる機能も既にリリースしています。今後もお客様の運用実態に沿ったアップデートを続けていきます。

左:株式会社Kanaglee 代表 宮川 翼、右:ハリマ産業株式会社 代表取締役 大久保 謙一氏
ー 最後に、同じように資金繰り管理を長年ご自身で担われてきたオーナー経営者、あるいは事業を継がれた二代目・三代目の方に向けて、メッセージをいただけますか。
大久保さん:資金繰りは、経営の基本だと思うんです。会社の規模にもよりますが、他人に任せないで、自分でやれるならやるべきだと私は思っています。
大久保さん:資金が潤沢にあるなら放っておいてもいい。でも、不安があるなら、その不安を自分で覗き込んだ方がいい。「不安だけど見ない」ではなくて、直接、数字を見に行った方がいい。
大久保さん:今はこういう良い環境が整っています。Kanagleeを使えば、数字が全部正確に上がってくる。以前は、資金繰り表作りの7割が「正確性との戦い」でした。それが全部なくなって、本来やるべきこと——経営の分析や判断に、資金繰りが使えるようになる。それは、経営者にとって本当に大きな違いだと思います。

※記事中の役職名等は取材時のものです。
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